今シーズンのチケット購入済コンサート

秋〜冬と言えばクラシックですね。と勝手に思ってる私ですが...


涼しくなってきて、やっとクラシックを聴く気分が戻ってきました。
夏の間のクラシックはドビュッシーとかラヴェルとかルネッサンス音楽とか音自体が軽いものを中心に聴いてましたが...


今年は内田光子の発売日での予約殺到のあまりの凄さに、「もう取れないな〜」と思ってたのですが今頃「ぴあ」とか見てたらS席は余ってたのですね、無事11/16だけは取れました。ベートーヴェンが取れなかったのは残念ですが。

ついでに「ぴあ」で自分のお気に入りのアーティストのリサイタルも見つけたので、一気にドバっと購入してしまいました。内容は下記の通り。

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■10/23(土)
ラドゥ・ルプー(p)、新日フィル(指揮:クリスティアン・アルミンク

[曲目]
・リーム/変化2(2005、日本初演)
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番 ト長調
交響曲第8番 ヘ長調

ルプーのベト協を聴くのは初めてです。しかも4番。自分の中でのベト4番のベストはもちろん内田光子ですが(CD録音と映像で観ただけですけど)、ドイツ物の演奏が素晴らしいルプーのも是非聴いてみたいところです。新日フィルのバックが心配ですが...

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■10/29(金)
ラドゥ・ルプー ピアノリサイタル

[曲目]
ヤナーチェク:霧の中で
ベートーヴェンピアノソナタ第23番ヘ短調op.57「熱情」
ドビュッシー前奏曲第1巻

自分の中ではルプーの演奏は好みに合ってるので、本当に楽しみです。現在はレコーディングをしないスタンスらしいし、なかなか来日しないアーティストなので貴重です。サントリーでのシューベルトの21番とこのオペラシティでのドビュッシーとのチョイスで迷いましたが、ルプーのシューベルトの録音にはそれほど感動していないし、ルプーがドビュッシーとは!と思いこちらにしました。

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■11/16(火)
内田光子クリーヴランド管(弾き振り)

[曲目]
モーツァルト:ディヴェルティメント ニ長調 K136
モーツァルト:ピアノ協奏曲 ニ短調 K466
モーツァルト:ピアノ協奏曲 変ロ長調 K595

個人的には早々にソールドアウトした11/14日の23番&24番よりチケットが残ってたこっちの方(20番&27番)で良かったかもです。でも出来れば20番&23番の組み合わせが自分にとってはベストなんですけどね。内田光子のモツ弾き振りを観るのは、2002頃にカーネギー以来(20番&21番)ですね。天板を外してしまうので、カーネギーのアコースティックにちょっと問題があったのですが...(座席は一階中央でした)
内田さんは現在ヨーロッパツアーで「月光」ソナタと最近出たばかりのシューマンダヴィッド同盟舞曲集、ショパンピアノソナタ3番を弾いているようです。内田さんの月光ソナタも聴いてみたいけど、是非ハンマークラヴィアを聴いてみたいですね〜。ショパンの3番は以前カーネギーで聴きました。ミスタッチ多めでしたが、本当に曲の構造がわかりやすく見えてくる素晴らしい演奏でした。

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■2001/2/15(火)
アンドラーシュ・シフ ピアノ・リサイタル

[曲目]オール・シューベルト・プログラム
・楽興の時 D780、op.94
即興曲集 D899、op.90
・3つの小品 D946(遺作)
即興曲集 D935、op.142

シフが来日ですね!サントリーホールベートーヴェン最後のソナタ3曲よりも、こちらを選びました。やはりシフと言えばシューベルトだし、シフのベト最後のソナタの録音が自分の好みでは無かったので...(それについてはコチラ)個人的には、パルティータのライヴ盤が余りにも凄かったので、シフのバッハ演奏を聴いてみたかったです。

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ということで、本当はルイサダショパンとか、アルゲリッチラヴェル協とかも聴きに行きたいけれど、ルイサダは良く来日してるしショパンばっかり弾いてるから、自分的には後回しで大丈夫でしょう。あとはコヴァセヴィッチの2006振りの来日が叶えば完璧です。本当に切望してますので、梶本さんかどこかお願いします....

ペライアのシューマン

gtyo2010-01-14


マレイ・ペライア
シューマン ピアノソナタ第2番 Op.22、幻想曲Op.17


ペライアシューマンが収録された2つのアルバムを久しぶりに聴いてみた。このアルバムは10年程前に購入したディスクで、一つはシューマンシューベルトソナタカップリング、もう一つはシューマンシューベルトの幻想曲(シューベルトはさすらい人)がカップリングされたアルバムである。録音は確か90年代初めの方だったかな。


当時はペライアに結構ハマっていて、あの美しいタッチによるシューマンは特に好きだった。


今、10年後にこうして聴いてみると、改めてそのタッチの美しさにうっとり。特に静かな部分や流れるような部分でのタッチとフレージングは絶品。シューマンの幻想的な心の世界が透明感に満ち、瑞々しく演奏されている。


内田光子による幻想曲のライブ演奏などを聴いていると、やはりメリハリがすごく効いていて、リズミックな部分でのアクセントがもう少しペライアの演奏に欲しいところ。やっぱりシューマンの曲には躁鬱てきなメリハリがあるととても美しく響くと思う。


ペライアの演奏は色彩感はあるのだが、全体が流れるように美し過ぎて、対比的な面白さが無く物足りない。
でも、静かな部分での美しさは格別で本当にうっとりします。結局今の所、幻想曲でペライアより美しい演奏はないな〜。
内田光子が録音したらどうなるのか、楽しみなのですが今の所録音予定は無いかと。

シフのベートーヴェンは最大の残念賞でした。

gtyo2010-01-10


アンドラーシュ・シフ
ベートーヴェンピアノソナタ Op.109, Op.110, Op.111

強いて言えば星4つだけど...。

レコ芸で絶賛だったシフのベートーヴェン、特に最後の3つのソナタ、大絶賛だったんですけど...ゲー全然ダメでした。
なんせ9月頃に出たバッハのライブ録音のパルティータが名演だっただけに、大絶賛のベートーヴェン、期待大だったんですけどね、やっぱり人の言う事、特にポリおじさんを絶賛するようなレコ芸の批評家の言う事を真に受けちゃダメですね...

なにがイケナイか、まあこういうのも言っちゃえば好みでしょうけど、シフのベートーヴェンは枯れすぎています。
ワビサビな演奏が、秋の野原な感じなんです。シフはもっと前に録音すべきだったのかもしれないですね。とにかくベートーヴェンに必要な光の強さみたいなものがなく、枯淡な美しさなんですよ。枯れて本当に枯れちゃったアラウみたいな爺さん的演奏というより、茶人とかの美しく枯淡な境地です。
繊細で変幻自在な美しさを地味に秘めてるんだけど、これはベートーヴェンの求めてた音では無いと思うな...


でもコヴァセヴィッチも同じような歳で全集録音したけどバッチシだったからな。やっぱりベートーヴェンは枯れた演奏はすべきでは無いと信じている自分です。もちろんシューベルトモーツァルトもそうですけどね。ベートーヴェンはとにかく突き進む光の強さが凄いんですから。それをワビサビで表現してもらっても....ということです。


残念でした。

アンドラーシュ・シフのバッハ「パルティータ全集」

gtyo2009-12-10


ここ2ヶ月ほどずーっと聴いてるのがシフのパルティータ。
ペライアのパルティータ第2集も同時期に出てて、感想を両方同時に...なんて思ってたのだけど、シフのが本当に良くてペライアのを未だに買えない状態になってます。

シフのはライブ版ですが、録音が良いせいもあるのだろうけどその演奏のバランスの良さは驚異的。ペライアのバッハの様な滑らかな歌の芳醇さよりもシフの方が端正で構築的でありながらも自由闊達。でもドライではなく潤いがある歌い回しとさり気ないアクセントの効かせ方がたまりません。

指回りは右と左の分離と交差具合のバランスは近すぎず遠すぎずで、聴きやすい軽快さと聴き応えある適度なウェイト、もう絶好調じゃないでしょうか。
ペライアのバッハの歌の聴かせ方は大好きなのだけども、しばらくシフを聴いてから買おうと思います。

内田光子リサイタル@サントリーホール 11/27

火曜に引き続き、2回目です。
一言で言えば、「大大大満足」素晴らしかったです。火曜前半の不調はどこへやら。
今回の席は2回の鍵盤が見える側「B」(一応S席です)で、やっぱり音は一階中央席より断然良かったです。

内田節爆発してましたね。一階の中央より音の分離が良く聞こえ、じっくりと聴く事ができました。

まずはモーツァルトソナタ。装飾も含めテンポルバート聴かせた濃厚でスケールというか深みが増したモーツァルト。でも静けさを十分に取り込んで空気感があるのはさすが。一瞬の間合いなんですよね。内田さんが「ライブは会場の緊張感も含めたその時みなで共有するもの」と言っているのが良くわかる演奏でした。
初期の頃の内田さんのモツは、スケールもコンパクトで端正だったのが、最近はもっと自由に伸び伸びやってますね。やっぱり名演奏家にならないとこうは好きにできないでしょうね、と感慨深くもあり。

クルタークとバッハ、最高でした。クルタークみたいな近代〜現代音楽は大抵は聴衆の集中力が著しく落ちるのだけど、(数人のオジジを抜かしては)内田さんのあり得ない音の世界に聴衆の集中力と緊張感をバシバシ感じて、音の美しさはさらに増してましたね。バッハの均整の取れた、ある意味厳しい音楽が自由かつ情感大きく演奏され、クルタークの遊び心ある自由な音の世界がビシビシと緊張感を持った音として鳴る、このコントラストが内田さんの美音で見事な構成になってたと感じましたね。不思議にスムースで流れが良かった。聴衆の反応で、すでに大成功だったと思えました。

今晩のロンドは、火曜と大違い。素晴らしかったです。内田節が最高潮に炸裂した瞬間でしたね。ペダルを掛け、音がウワーっと広がったり、ミニマルなスケールに戻ったり、もうピアノという楽器をあれだけ効果的に演奏できるピアニストは彼女しかいない、と確信する程でした。モーツァルトの音楽に含まれる感情の層と深みが訴えかけるものは無限大ですね。

シューマンは火曜日も良かったですが、今晩はもっと良かったです。火曜は大きく打って出るところがもっと自然だった気がしたけど、今晩の方が大満足。さすがに3回目なので内田さんの幻想曲の解釈にも完全に慣れ、アクセントの濃〜い演奏も余裕で楽しめました。カーネギーで聴いた時は起きて欲しくない所でミスタッチというか音がきちんと鳴ってない箇所があって、それもショックでしたね。シューマンの曲は右手で大きく移動しながら輝かしい和音を身振り大きく鳴らさなくてはならないのですが、内田さんの右手小指の最高音が綺麗に鳴らない危うい箇所が今回は一つも無く、きちんと輝かしく大きな和音と右手小指の旋律が聞こえてました!これぞシューマンです。(2楽章でチョイミスタッチはありましたが全然メジャーじゃなく気にならなかった。)

アンコールはシューマンの謝肉祭の最後から2番目くらいのやつ。(名前がわからない...)極上の軽さで素晴らしかったですよ。内田さんの謝肉祭は素晴らしいですからね、一度ライブで完全に聴いてみたいですね。

アンコールの最後はいつものモツの第二楽章ではなく(えええ!)ベートーヴェンの30番(Op.109)の第一楽章でした。もう絶品も絶品。そのまま曲を完奏して欲しかったです。以前内田さんの講演会を聴きに行った時に、質疑応答でベトの最後の3つのソナタの中で強いて選ぶとしたらOp.109が好きだ、と答えてた内田さん、素晴らしい演奏でした。これは言葉で言うより、一緒にその場にいた観客だけがわかるものかと。

吉田秀和さんらしき人が居たけど、そうなのかな...
それからイアン・ボストリッジが居た。マスクして一人でアークヒルズを横切ってたけど、あの長身は隠せまい... 今日本にいるのか... 内田さんと友達だろうしね。

取り急ぎ、走り書きで書いてしまったけど、今晩は大正解!でした。

内田光子リサイタル@サントリーホール

全体として大満足だったけれども、多分後半とアンコールが素晴らしかったからかな。
前半はちょっと本調子でなかったような気が...。


まずモーツァルトのロンド。こうした曲は内田さんは大得意なはずなのに、音が硬く指も回り切ってないように感じられ、装飾音もいつもの端正な美しさはなく危うい繊細さになってたような... 今回私の席は一階の中央だったけど、音響的に駄目な席だったのか? ミドルレンジで少々歪んだ響きがあって聴きにくい部分があったのです。それと内田さんの指の硬さが相まって、いつもの極上のモーツァルトでは無かったと思う。残念!

モーツァルトからそのまま間髪入れずにベルクのソナタ。内田さんのベルクのソナタを聴くのはこれが3回目なのですが、今までで一番駄目だったような気がします。いつもは空気感と瑞々しさがあるのですが、今回のベルクは前傾姿勢な演奏で、席のせいか音の分離が悪い箇所もあり、いつもの素晴らしいフォルムが崩れてたような感じがします。大好きな作品なだけに楽しみにしていたのだけど...

前半の最後はベートーヴェンソナタ28番。今回のプログラムはこの作品とシューマンの対比...というかシューマンがどう想像力豊かにベートーヴェンの作品をファンタジーに膨らませたのかを感じられるように構成されていたと思う。28番はコヴァセヴィッチのリサイタルで「完璧」という極上レベルのを聴いていますが、内田さんの演奏は後半(第三楽章)からが素晴らしかった。というかプログラム前半最後になって本調子になったのかな?と思わずにはいられなかった。
第三楽章の静かな部分でのドラマから突然音楽が広がり始めたのを感じて、おおおキターーーという喜びが。最後の方は音も良く抜けて音楽に広がりが出て素晴らしかったですね。

なんか、美智子皇后が休憩中に到着し会場の雰囲気が変わったからなのか、内田さんの後半は絶好調でした。
内田さんの演奏によるシューマンの幻想曲は以前カーネギーで聴いていて、その時はあまりにも大きく出た演奏に「えええええ、違う!」と思って全然評価できなかったのに、今回はその素晴らしさを感じる事ができ大満足。多分自分が進化したか変わったからかな。当時はペライアの流麗でキラキラしたシューマンの幻想曲がベストだったので、ウィーン風に大きく構えた演奏を受けつけなかったし。

ただ、これも席の音響が悪かったからなのか(でも一階の中央ですよ!S席なのに...)内田さんのペダリングしすぎなのか、音が滲んで滲んで音の流れが良く見えない部分も... でも、ウィーン風の濃い味つけ、と思われる内田さんのアクセントは全体的に濃い演奏にマッチしていて、ある意味音楽の見通しが凄く良くて解り易かった。シューマンの取り留めなく、捉えどころ無く、変に幻想的でロマンチックな感じが良く出てたと思うし、ベートーヴェンの世界がどう転換されたか面白かった。スケールは大きく、タッチも素晴らしかったしね。

アンコールのシューベルトとモツソナタ第2楽章も終始柔らかいタッチで素晴らしかった。特に内田さんが必ずといっていいほどアンコール最後に弾くモツソナタ第2楽章(今回はK330だったかな。)は極上で、あれはお母さんが寝る前に歌ってくれる子守唄とかおやすみのキスなんだと思う。

やっぱり内田さんは特別なピアニストなんだな〜と結局は最後に実感したんだけどね。日本では余りしないんだけど、最後はスタンディングオベーションしちゃった...

個人的に面白かったのは、内田さんが後半に出て来た時に、美智子皇后に向かって挨拶したんだけど、内田さんがまるでベルサイユのばらのオスカルに見えた事。政府高官の娘で男勝りの内田さんと皇后だから立場的にもオスカルとアントワネットに近いしね。あと内田さんのヘアスタイルと挨拶の仕方がオスカルに似てたのかな。美智子皇后に愛されてる内田さんがオスカルとクロスオーバーするとても興味深い瞬間だった。

今週あともう一回あるので、モツのロンドは復讐戦で素晴らしいのを聴きたいな〜と思ってます。

五嶋みどり:バッハ「無伴奏ソナタ第2番」

五嶋みどり バッハ/バルトーク


五嶋みどり内田光子同様、寡作な演奏家だ。
それだけにリリースするディスクは演奏クオリティが非常に高い。

2年ほど前に発売されたこのバッハの無伴奏ソナタ第2番とバルトークソナタを収録したこのディスクも素晴らしくて、特にバッハの無伴奏はこれまでの名演とは一線を画す独自の解釈と悟りの境地に達しかかのような五嶋の名演で、クレーメルの新盤購入以後「バッハの無伴奏はもういいかな...」と思っていたのに五嶋盤の全集が揃うのが今から待ち遠しいところ。


今はまだソナタ第2番だけだが、出だしの数秒だけで引き込まれてしまう。
五嶋みどりは以前から弱音や無音といった静寂な部分で雄弁に語る事ができる希有の表現者だが、今回はそれが余りにも美しく、まるで端正かつ伸びやかな筆はこびを墨絵に見るかのような演奏なのだ。ここまでシンプルかつ静けさに満ちた佇まいは、クレーメルの新盤で縦横無尽に表現しつくした伽藍のようなバッハに慣れた後では余計に衝撃的だった。
緻密で完璧な構成の中を縦横無尽に飛び回るクレーメルのバッハに対して、一筆書きの潔さと余白で語る凄さが五嶋のバッハにはある。


とにかく買って聴いてみて欲しい。これまでに無い静かな精神性に満ちたバッハ。心が洗われます。