内田光子 2010/11/16(火) サントリーホール


内田光子 クリーヴランド管弦楽団
サントリーホール
モーツァルト:ディヴェルティメントK.138、ピアノ協奏曲第20番・27番


今年はチケット争奪戦が一層激しくなった内田光子の弾き振りクリーヴランド、なんとか観に行けました。
モーツァルトの中でも特に有名曲揃いなプログラムでしたが、ますますヤリタイ放題な内田光子を観られましたね。素晴らしかったと思います。実は内田光子弾き振りwithクリーヴランドは8年前にカーネギーホールで20番と21番を聴きに行ったのですが、この時は今回程素晴らしいとは思わなかったのですね。


さて今回の席はSでも初めての2階中央席でした。音は残響が結構ありつつもこもっていて、ホールのセンターに膜がはってあるかのような音はとてももどかしさを感じましたね。やっぱり2階のSの両端(サイドウィング)が一番良い響きかなと。


クリーヴランドの音とマナーはやはり全米屈指でした。ニューヨークフィルなんかより弦の音というか感度が良いと思う。内田光子の方向性や音楽性なども影響してるかと思うけど、品があって柔らかくかつ溌剌としたモーツァルトを聴かせてくれました。


内田光子の演奏ですが、ハッキリ言えば自分は指揮者がいる方が内田光子のピアノ演奏は良いと思う。でも、オーケストラを含めた音楽全体はとてもイキイキとしていて素晴らしかった。
20番はかなりトンガッタ演奏を繰り広げていて、たたみかけるような前傾姿勢が強すぎて息が詰まる用な走り方をしていたのがとても気になった。でも時折見せる微妙な表情の変化や全体のうねりを熱く繰り広げる辺りはやはり内田さんだな〜と。隣で聴いてたウチの母親も、「内田さん、ちょっと音が速く展開しちゃって空気感が...」と言ってて、暴走気味なところが気になったよう。なんか20番の弾き振りでの内田さんの暴走傾向は年々強くなってる感じがするんだけど、今日サントリーで買った新譜で同じ20番のライヴ録音を聴いたら割と落ち着いていたのでチョット安心。


逆に27番なんかは非常に大きく構えた立派な演奏で、その中にあり得ないような柔らかい音でひたすら音楽を紡いで行くという天井の音楽になっていた。こちらの演奏の方が断然自分好みだったけど、内田さんは20番と27番のコントラストをプログラム的に考えてここまで演奏を変えていたのかも。(もしくは内田さんのこの2曲への感じ入り方が全然違うのかも...)
最後の大きなカデンツァなんかも本当に素晴らしくって、顎が外れるかと思いましたね。


これまでの内田さんのモーツァルト演奏より今回の違うところは、一つ一つの音符をかなりカツゼツ良く強めに発音していたこと。
大きく構えた立派な演奏に聞こえたのは、27番のテンポ感とこの発音のせいかもしれないな...


ということで母親と二人で19000円以上に堪能した演奏会でありました。
ベートーヴェンの4番を聴きに行ける皆さんがうらやましいです。

あ、それから今回は有名人で假屋崎が来てました。
あんなセンスの無い人が内田さん聴きに来るなんて意外&心外に思ったんだけど、きっと内田さんの演奏会も金持ちの社交場と化してるからオバサン連中に誘われたのかな、と邪推したりして...


ラドゥ・ルプーの演奏会がキャンセルされて残念に思ってたので、今回の内田さんので見事気分も挽回。
来年の内田さんのシューマンシューベルトは絶対S席のサイドをゲットするべく頑張ります。