クリスティアン・ツィメルマン リサイタル

行って来ました、観てきました、聴いてきましたツィメルマン
お初です。


演奏を聴いた後の第一印象は、「若々しい!」
変な意味での円熟とは無縁の熟した清々しさというのでしょうか。
見事なバランス感覚にヤラれたのでありました。


まず、バッハのパルティータから。とても鋭く彫りの深い演奏でした。
最初の方はペダリングかけ過ぎかな、と思いました。ちょっとキツくて、意識し過ぎた様な演奏になってしまってましたが、どんどんイイ感じにそぎ落とされ、最後の方はとても美しく音楽を感じる事ができた。


ベートーヴェンの32番。ベト最後のピアノソナタ
う〜ん、若々しいなあ。こう、ベトの中期の作品を聴いてるような。凄い技術の人なんですね。
で、そのためらいの無い推進力が多少直線的に感じられたというか、ベトの32番で必要な「感情のうねり」、心を揺さぶる波の重なり、みたいな物は感じられなかったかも。
32番は、フレーズ間の移行でストーリーが深くなるのです。それはタイミングであったり、音の面取りであったり、その負のスペースが人生を振り返って感謝する大きなうねりとなって最後に戻ってくるわけです。ツィメルマンはこの辺りが直線的に聞こえたな。もちろん、深遠なる部分の表現も聴こえたし、凄いと思ったんだけど、聴いてて自然に心の中から熱くなってくるような感覚は無かった。
内田光子とかコヴァセヴィッチのライブでのベートーヴェンは、本当に心がグウ〜〜〜っと掴まれて熱くなってきたんですけどね。
演奏の好みの差なのかな...それでもやっぱりこれだけのピアニストには「もっと」を期待してしまう。ツィメルマンショパンの幻想曲とかは個人的には凄く好きなんですけどね.... ベトは合わないのかな。


個人的には、後半に演奏したブラームスシマノフスキーの方が断然良かったと思いました。
ふ〜む、後半に至って初めてこのプログラムが時代順である事に気づいた。面白いのは、シンフォニックな所や音型で共通するような部分がバッハ〜シマノフスキに聞かれた。面白い。何となく反復的な面白さもあったかも。バッハ→ベートーヴェンブラームスシマノフスキ、みたいな。


最後のシマノフスキーの作品は初めて聴いたけど、とても良かった。演奏はスパーブ。素晴らしかった。
音が外に広がって行くタイプの音楽家だな、とつくづく感じました。


アンコールは無し。

それにしても、一列目中央にサンダル履いてた若い男がいたけど、ひどいね。
パリス・ヒルトンとかじゃないんだからさ。オシャレを勘違いして、場違いなサンダル。
アスペンやマルボーロとかの野外音楽祭ならともかくね...。
スワロウテイルまで着ている演奏家に対して、サンダルでの組足は本当に醜いし、失礼。空気が読めてない。
保守的な服を着れば良いわけではないけど、バランスの取れたオシャレってモンをしなくてはいけないし、演奏家への敬意ってものがあるでしょうに。ああいう人が一番前に座ってる事に凄く恥ずかしく感じた。音楽会をわかったようなクロウトのフリでもしてるのかね。クロウトのフリをするなら、グルダジーンズでもはいてきた時とかに確信犯的にキメて欲しいよ...


ま、ツィメルマンはまた聴きに行きたいな、高過ぎるけど。
今度は埼玉で聴きに行こう...