動画鑑賞 vol.1:モーツァルト ピアノ協奏曲

Youtubeって最近、ハイクオリチィ対応で音も素晴らしくなって、Youtubeライフもさらに面白くなりました。なんといっても古今東西、新旧演奏家の貴重な動画が観られるんだから。そしてかなり音質も良いし!URL全ての最後に(&fmt=18)を付けてしまっている自分。もちろん昔の動画に付けても意味ないけど。

さて、Youtubeでモツのピアノ協奏曲って入力してみたらずらずら美味しい動画が出て来たので、気になった動画を色々観てみた。(一応URLは付けますが、いつ削除されるかわかりませんので)



【第1位】K459 by Radu Lupu ★★★★★
ttp://www.youtube.com/watch?v=N4h2Z_MKxLs&fmt=18
ルプーのピアノは結構好きな音でニューヨークに住んでた頃も何度か聴きに行きまして、自分とは違うイメージで相容れない表現とかあっても常に高度な演奏をしてました。あの森の木こりみたいな見た目でこんな美しい音と世界を造り上げるなんて...とその見た目とのギャップが素敵すぎる。(出だしで判断せずに三楽章ちゃんと最後まで観てくださいね〜!)
ルプーのこの動画はかなり前のもののはず。だってD.ジンマンの髪が!髭が!! 別人です。(アルものが無く、無いものがある感じで)ルプーは昔からの「森の人」みたいなヒゲですが。本当にこんな見た目の人がこんなノーブルな音出すんだから凄いですね。ルプーのオケへの合わせ方もこれぞMUSIC MAKINGって感じで、オケをそつなく見やるのも素敵すぎる。オケは管楽器がもっと抑えた表現で美しさを表現すべきところで、ピーヒャラやったりしていて「プフっ」な感じなところも。ルプーの音は高らかに鳴っていて、その広がりのある感じが好感もてるし...19番だからデモニッシュさが無さげでパキパキ演奏してるのも○です。第二楽章での音も本当にうっとりです。たまに左手の音が弱いのですが、これは録音のせいかも。映像もまともでとても手堅くまとまっていて品が良いです。DVDがあれば買いますね。
ルプーってペライアと共演した録音があったり、最近も内田光子とモツの2台ピアノ協を共演したりで欧米では極めて評価が高い人で是非日本にも来日公演して欲しい演奏家です。




【第2位】K466 by 内田光子 ★★★★
ttp://www.youtube.com/watch?v=3dkK1iw2SMk&fmt=18
この演奏は凄いんですが、私は内田さんは弾き振りより、指揮者と組んでる演奏の方が好きかな。ジルヴェスターでのラトルとの20番の方が好み。両方とも鬼気迫る演奏なんだけど、何か弾き振りの方はたたみかける気合いが強過ぎて、ちょっと息苦しい感じです。でもこの演奏の第二楽章は素晴らしい!デモニッシュな世界と天国的な世界のコントラストを弾かせたら内田さんの右に出る人はいないでしょうね。

以前カーネギー内田光子が20番と21番を弾きふりする演奏会に行ったのですが、弾き振りは天板を外すので音のディテールが消えちゃうんですよね。この映像は逆に全ての音をはっきりと録音していてちょっと生ナマしい。(ようつべ動画で音質うんぬん言えないけど...)

映像としては...内田さんのデモニッシュな所を克明に記録していてある意味凄い映像です。編集やアングルは結構良いかと。




【第3位】K459 by Maurizio Pollini ポリーニ ★★★
ttp://www.youtube.com/watch?v=G2hemO7j7Uw&fmt=18
さすがポリーニウィーンフィルで楽友協会ですか...しかもベーム。聴き始めは「お?良いかも?」と思ったのですが、やっぱり若い頃のポリーニ。5分を過ぎたら飽きてきて聴くのがつらくなってきました。もろ高めの直球で音と表現の引き出しの少ない若者丸出し。ウィーンフィルの弦の音はやたらとゴージャスだけど、管に較べて強過ぎじゃね?映像は普通な様でトランジションにダサいモンタージュで結構笑えます。そして第三楽章の途中から多分投稿者による変な写真のモンタージュが!!!この演奏はとにかくオケの音を楽しむなら良いですね。




【第4位】K595 by Alicia de Larrocha ラローチャ ★★★
ttp://www.youtube.com/watch?v=JfEf9gtU3qo&NR=1&fmt=18
ラローチャさんは...他人のお母さんの料理みたいです。まずくないけど、合わないって言うんでしょうか。でも音の世界は悪い意味で貴族的。あと音の粒と流れが滑舌の悪い人のようにつたなく聞こえる。いや、わざと音を揺らしてるんじゃなくって本当にトツトツと変に指が回ってないようなタイミングの音が出てて、耳が心地悪い...という所が数多くある。オケはとてもエレガントな音でまとめられててとても綺麗だけど、エレガントすぎる。ラローチャペダリングがっちり決めてる音に合ってるとはいえ、もうちょっとハキハキしてても良くない?映像的にはカメラ周りも含めいろいろとつまらないです。




【第5位】K466 by Friedrich Gulda グルダ ★★
ttp://www.youtube.com/watch?v=VtTqpqGIIYU&fmt=18
出た!こういうグルダは本当に生理的に受け付けない。K488の録音でのグルダと大違い。確信犯的に破天荒な感じも好感度ゼロでとにかくバリバリ弾き進みます。第二楽章の装飾音も緩急付け過ぎで悪趣味。ピアノのトーンもいかにも現代的な所を狙ってる感がエグい。オケの演奏はドラマ性もあるし品がある音で結構いいかも。映像として観てもセンス無し。グルダの脇の人の表情が冷めてて妙に気になります。




【第6位】K482 by 上原彩子
ttp://www.youtube.com/watch?v=FhwNPjVRdIw&feature=related&fmt=18
ああ〜かったりぃ〜気持ち悪ぃ!こういう演奏、全身に毛が生えてきそうです。チャイコ得意な人がいかにも陥りそうな罠。一つ一つのフレーズでケーキ一個食べさせられてる気分になります。確かに丁寧だし、ピアノは上手。でも内田光子曰く「モーツァルトはころころ気が変わる音楽。決して浸ってはいけない。」上原サンは自分の音でモーツァルトの音楽にマジ浸って溺れてます。こういう人にモツは一生弾けません。合掌。こういう人がベトを弾いた時がどうなるか、怖いもの見たさで興味あります。映像は...アングルが下手で絵になってない。編集も下手だし、ズームイン&ズームアウトも苦笑。