スヴィヤトスラフ・リヒテル
モーツァルト ピアノ協奏曲 第1番、第5番、第18番
ルドルフ・バルシャイ 指揮, 新星日本交響楽団


リヒテルモーツァルトのピアノ協は以前に23番を聴いて、思いっきりズッコケたので避けていたのですが、今回もまたズッコケました。
23番を聴いた時は、自分のペースでしか動かない頑固な靴屋の爺さんみたいな演奏に聞こえたんですけど、今回もそうでした、というか年齢のせいもありさらに悪いです。もう、この歳になっても無理にライブとかこなして、人前でこういう演奏を弾く方にも疑問を抱きますけど、売る方もそうだし、レコードショップで下手な字で書いてある店員のコメントカードの「絶賛」は一体どこからくるのでしょうね。理解に苦しみます。


今回のは日本での90歳ぐらいの時のライブ録音らしいです。まず、ペースというかリズムが無いのでかなりヤバイです。上手な子供より下手に聞こえます。しかし、このもたつき具合に人は「リヒテル」の怪演の幻想を見出しているのでしょうかね。トリルなんかもヒドイです。両端の楽章はまずまともに聴けません。下手ウマな感じもしないので、大家の味ってものも皆無です。なんか大家にしかできない表現みたいのを聴かせてくれると、下手でも聴けるのですが。ま、アラウが90ぐらいの時の録音した噴飯モノの「楽興の時」のひどさの次ぐらいに指が動いてないです。なんでこういう録音を平気で残そうと思うのか、年老いるとわからなくなるので怖いですね。それを売ろうとする周りも怖いです。初めてフォルテピアノを弾いた人の演奏みたいな音とでもいいましょうか。


徐緩楽章では、ま、ゆるやかな音楽で、オケとのずれも感じずになんとか聴けますね。とにかくオーケストラと合わせるということが全くないので、オケが鳴ってないカデンツァ部分が一番まともに聞こえます。ここら辺はフジコと一緒か。


モツはある意味、老いがすぐにバレやすい音楽だと思いますが... これはその典型ですね。